人は弱い。
悲しいほどに弱い生き物だ。
そんな「人」という生き物の中でも、私は弱い方です。
それなのに、24歳の頃の私はなぜか血迷ってしまい、激務ピラミッドの頂点ともいえる「コンサルティングファーム」という業界に転職してしまいました・・・。
みなさんこんにちは。逆転のWEBコンサル「アフロ」です。
- 月曜日:徹夜
- 火曜日:徹夜
- 水曜日:終電
- 木曜日:徹夜
- 金曜日:徹夜
- 土曜日:20時退社
- 日曜日:午後から出社して徹夜
これが最もハードだった時期の私の1週間のスケジュールです。
今思い出しても泣ける・・・。
入社後すぐに、社内で最も仕事に厳しいと恐れられているパートナーの案件にアサインされた私は、文字通り死にました。
ただ、その後自分なりに成長し、楽しく仕事ができているのは、このパートナーから非常に多くのことを学んだからでした。
「仕事というのは楽しいけど厳しい部分もある」
「特にコンサルの仕事はしんどいから、壊れていく人も多い」
「だからできるだけ楽をしろ。つらくなってからではもう遅い。」
というのが彼の口癖で、アウトプットへの要求は非常に厳しいものの、
- 楽に仕事をするのがいかに大事か
- そのためにどうすればいいのか
ということを私にいつも話してくれました。
私がずっと楽しく仕事をすることができているのは、「楽に仕事をすること」を彼が叩き込んでくれたからです。
厳しい上司でしたが、今でも感謝しかありません。
当時の教えは、今でも「仕事がちょっとしんどいな」と感じたら、自然と思い出して実践しているので、ここで紹介させて頂きます。
「仕事がつらい」「しんどい」という人は、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事の感想をご自身のブログで書いてくれた方は、私のTwitterアカウントで拡散させて頂きます。TwitterのDMでご連絡ください。

目次
行き詰まったらすぐに相談する

当時私が一番よく言われたのが「行き詰まったらすぐに相談しろ」でした。
もちろん自分で調べて考えるのは大切です。
でも、10分間自分で調べたり考えたりしても、ある程度解決の見通しが立たない場合、それ以上がんばっても分からないものは分かりません。
だから、行き詰まったらすぐに人に相談すべきなのです。
ただ、当時の私は、
「●●さん(上司)は怖すぎて聞きづらい」
「他の人は忙しそうで、聞いてもあまり相手にしてもらえない」
と思っていたので人に相談せず、いつも一人で悩んで仕事が遅れていました。
その時に上司から言われたのが、下記の言葉です。
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「俺は指示を理解していないことや知識不足については怒る」
「でも、相談してきた行為自体には怒らない。それを怒るような上司がいたら、そんな職場はやめた方がいい」
「あと、世界はお前を中心にまわっているわけじゃないから、相談したらみんながちゃんと答えてくれるわけがない」
「でも、10人に相談したら7人に無視されても、3人ぐらいは答えてくれる」
「答えてもらえなくても気にせず、答えてくれる人に行き着くまで、どんどん相談しろ」
「そうじゃないと、自分の能力以上の仕事にぶつかった時、ちゃんとプロフェッショナルとして責任を果たせないぞ」
ーーーーー
似たような事例を探す

自分がやったことない仕事を受けた時は、必ず似たような事例を探しましょう。
社内の人脈や資料、業界内のネットワーク、インターネットを駆使して、徹底的に似たような事例の情報を集めるのです。
そうすれば、
- その仕事の難易度はどの程度か?
- どういうアプローチでやるべきか?
- 予算や工数はどれぐらい必要か?
- 一番成功のキーとなるポイントは何か?
- よくある失敗パターンはどういうものか?
といったことが分かるので、現時点でベストな「成功までのプロセス」を組み立てることができ、迷ったり不要な失敗をせずにすみます。
過去のアウトプットを集めて活用する

資料、財務モデル、集計ファイル、プログラム、デザイン、ツール。
こういったものは、過去に作られたもの、既製品、フリーで使えるものを探し、どんどん活用しましょう。
ゼロから始めることほど仕事において無意味なことはありません。
仕事の早い人というのは、自分や他者のアウトプットを『仕事の引き出し』としてたくさん持っていて、それを組み合わせてさっと成果を出せる人です。
与えられた制約条件の中で新しい価値や付加価値を出すためには、既存のものをまず取り入れて、その上で自分なりのアイデア・やり方・商品などを上乗せすることが大切です。
ビジネスにおいて時間や予算は限られているのです。
アイス屋で成功するなら、ゼロからアイスを作るよりも、既存のアイスクリームで一番美味しいものを仕入れて、その上でプラスアルファを考えるのが最も楽な方法です。
それはソースやトッピングでもいいし、お店の立地や内装でもいいし、お皿でもいい。
「まずパクれ。できるだけパクれ。最高のものをパクれ。そして最後の最後に自分なりの価値を加えろ。」
当時何度も上司から言われた言葉でした。
必要な成果を上司や顧客とすり合わせる

自分も人に仕事を依頼する立場になって改めて分かったんですけど、仕事を任せる側が成果を明確にしてから依頼をするケースは実は少ないんですよ。
だから、
- 何度もやり直しになる
- ムダに豪華な成果物を作る
- 一生懸命作った資料が結局使われない
なんてことが起きるわけです。
それってすごく無駄じゃないですか。
だから、当時の自分はこういった問題を「依頼する側の怠慢じゃないのか」と正直思っていたのですが、そんな自分を見透かしたのか、上司にこんなことを言われました。
「ふわっと依頼された時に、成果とプロセスを明確にするのも受け手の役割だ。むしろ受け手が価値を発揮し、違いを出す余地はそこにある」
「細かく指示されて言われた通りにやるなら、パートかアルバイトでいいだろ?」
ーーーーー
任せる側は、「成果がモヤモヤしていて、考えるのに手間がかかる」から、信頼できる相手にそれを任せるんですよね。
だから、具体的に必要な成果物の条件を細かく確認したり、ラフなものを早めに作ってイメージをすり合わせたりすることは、効率的に仕事を進める上でとても大切です。
その際に、依頼者はこちらの時間や余力などを分かっていませんから、
- できるだけ自分にとって楽なように
- かつ依頼者の要件を満たせるように
- 無駄なものを作業は極力発生しないように
アウトプットの詳細やイメージを提案し、必要な成果をすり合わせることも大切です。
大変なプロジェクトやしんどい仕事ほど、効率的に進めるためにこれが重要になります。
プロセス、タスク、アイデアを書き出す

コンサルティングファームはとにかく仕事が多く、情報処理の速さと量を求められます。
だから、上司からはとにかく
- アイデア
- プロセス
- タスク
を書き出すように言われていました。
ここでいう「アイデア」とは、自分のアイデアに限らず、打ち合わせや会話で出てきた他の人の意見や考えも含めています。
書き出すことには3つの効果があります。
1つ目は「記憶を外部化」することができ、脳のメモリの残量を増やせること。
2つ目は「頭の中を整理」することができ、精神的に安心感を得られること。
3つ目は「仕事が見える化」することができ、やるべき事が明確になること。
それによって集中力は増し、脳のパフォーマンスを随分と向上させることができます。
当時は誰にも邪魔されずに自分の頭の中を整理するために、いつもメモ帳とペンを持ってトイレの個室にこもっていました。
そして、うんこはしてないけど、スッキリした顔で自分のデスクに戻っていました笑。
書き出す作業は、心と脳の負担をすごく軽減してくれるので、本当にオススメです。
とりあえず寝る

ハードな業界ではどうしても睡眠時間が少なくなりがちです。
しかも、今は分かりませんが、当時はそれを良しとする風潮もありました。
でも、仕事の問題を上司に相談に行き、回答を得ても不安な表情をしていると、「お前もう帰ってとりあえず寝ろ」とよく言われました。
最初は意味がわからなかったのですが、悩んだらとりあえず寝ることの重要性が、少しずつ感覚的に理解できるようになりました。
睡眠不足や疲労によって脳の機能が低下すると判断力が落ちるというのは、何も行動レベルの話だけではありません。
認知能力が低下することで、大したことのない問題で過剰に不安になったり、ささいなことにイライラしたり、物事を適切に認識・評価できなくなるんですよね。
「とりあえず寝たらなんかスッキリした。」
「寝て起きたら問題が解決した。」
こんなことが何度あったかわかりません。
だから今でも仕事がしんどいと思ったら、とりあえず寝るようにしています。
脳を定期的に空っぽにする

上司はスポーツバイクが好きで、よく半ば強引にマウンテンバイクやロードバイクの旅に連れて行かれたのですが、それは「脳を定期的に空っぽにするためだ」と言っていました。
今の時代はスマホがあるせいで、ホワイトカラーの場合はいつも仕事とつながっています。
どうしても脳が疲れたり、麻痺したりしてしまいます。
運動や音楽などを通じて、定期的に脳を空っぽにすることがめちゃくちゃ大事なんです。
私はどんなに忙しくても、必ず週に1回はジムでトレーニングをするようにしています。
週に1時間でも30分でもいいので、脳を空っぽにする時間を持てると、仕事のしんどさはかなり軽減されると思います。
合わない人とはなるべく仕事をしない

これは意外かもしれませんが、私は当時ペーペーの若手だったにも関わらず、「合わない人とはなるべく一緒に仕事をしない方がいい」と上司からよく言われていました。
もちろん、どれだけ偉くても顧客・上司・同僚・部下を完全に選ぶことはできません。
ましてや若手に選択の余地はほとんどありません。
そういった前提を理解した上で、「合わない人と仕事するのは、できる範囲でなるべく避けたほうがいい」という趣旨で話していました。
これは機会損失のリスクもあり、「諸刃の剣」的な考え方です。
ただ、色々な人と仕事をしてきた今振り返ると、
「やっぱり相性の合わない人とは、いくらがんばっても良い仕事ができなかったなあ」
と思うことは多いです。
残念なのですが、合わない人とはどんなに努力しても合わないんですよね。
傲慢な考え方かもしれないですし、必ずしもそうできるわけではないですが、合わない人とはなるべく仕事をしないように自分は心がけています。
常に逃げ道を用意しておく

最後に、厳しい上司だったからこそ、「常に逃げ道は用意しておけよ」と言われたのはすごく記憶に残っています。
直属の上司なのに、
「転職サイトやエージェントには常に登録しとけ」
「最低限の貯金もしておいたほうがいい」
「万が一会社を辞めても大丈夫なようにしとけ」
と言うので最初はびっくりしました。
真意を直接聞くことはありませんでしたが、
- 体調を壊すぐらいなら辞めた方がいい
- 転職先があると精神的な安定につながる
- コンサルはハードだからずっと続けるのは難しい
- 出世は政治や運の要素も大きいから保険をかけるべき
といった様々な意味合いがあったんだと思います。

私はコンサルティングファームを含めて4社で働きましたし、自分で起業もしました。
その中で、仕事で一番大切な心と体の健康を維持するためには、厳しい時ほどはむしろ退路を確保すべきだと何度も感じました。
仕事がうまくいかなくてしんどい時ほど、預金通帳を見たり、転職エージェントからのオファーを見たりして、
「大丈夫、ここでダメでもなんとかなる」
と安心感を得ていました。
将来に対する最低限の安心感があるからこそ、目の前の仕事に集中できるのです。
『最低限の貯金』
『転職サイトやエージェントへの登録』
この二つはビジネスという戦場における”お守り”なんです。

私は精神的にも効率性の面においても、できるだけ楽に仕事をすることが、長い社会人生活を楽しみ、仕事で大きな成果を出すために大切だと思います。
「今の仕事に向いていない」「職場がそもそもブラック」「業界や会社が傾いている」などのせいで、楽に仕事をできない場合は、辞めてよりよい場所に転職すべきです。
そういった環境では、どれだけ個人が努力しても状況を変えることは難しいです。
楽に仕事ができる場所、楽に仕事をする方法、そして大きな成果を出すことにこだわっていきましょう。